Story

人の側にいつでも多肉植物を

多肉植物ブームによって、急に多肉植物が身近になった人も多いかもしれません。手軽に手に取れる分、気軽に枯らしてしまうというケースが増えたように思います。カッコいい/好きだから、お部屋に飾りたい、の前に知っておいて欲しいこと。

植物はインテリアである前に私たち人間と同じように生きている生物です。そして、多肉植物の多くは室内では生育ができないので、例えばリビングのテーブルやオフィスのデスクの上でサボテンを育てるなんてことは不可能です。多肉植物はアメリカ大陸等の、雨が少なく直射日光の照りつける環境において、何万年もの進化の過程で自らの身体をその土地に高度に適応させることで、自生している植物です。植物はある程度は環境に適応できるとは言っても、残念ながら日本の室内環境においては、健全にそして長くは生きられず、いずれ枯れてしまう運命にあります。

植物は消耗品ではなく、私たち人間と同じ生物界の構成要因です。家族や動物達と一緒に暮らすように、その特性を十分理解した上で、共に生きてくことができるといいなと考えます。

そのためには、まず知ることから

学名とは、生物学的な手続きにもとづき、世界共通で生物の種および分類に付けられる名称のことを表します。ヒトの学名が、Homo sapiensであるようにそれぞれの多肉植物にも、お花にも、世界共通で固有の学名が存在します。

たにくっしょん®/おはなくしょん®では、気に入って手に取ったその生物が何なのか正しく理解してもらいたいからこそ、その植物の持つ固有の学名及び和名、または品種名等を記載することをルールとしています。

学名を知ることで、その植物のこと、たとえば自生地から歴史、育て方まで、簡単に知ることができます。たにくっしょん®を通して、ホンモノの植物にも興味を持ってもらえるよう、そして一緒に暮らすための知識を得ることができるように設計しています。たくさんの人に植物のことをもっともっと知って欲しいという願いと愛を込めて。

多肉植物は屋外で。室内はたにくっしょん®で緑化

私たちロッカクケイLLC.はたにくっしょん®で室内緑化を推進します。

植物は、太古の昔から人間にとってとても特別なパートナーであり、切っても切れない縁があります。人はこの地球上で、植物によって生かされて、そして、植物によって元気をもらうことができます。

比較的新しい概念ですが、Edward O. Wilsonが提唱した「バイオフィリア理論」があります。それは、生命を志向する人間の内的・身体的傾向について述べた理論であり、私たちは、生物と生物でないものを見分け、自発的に他の生物に関心をいだくという。この傾向は、人間の生得的な本能に根ざしており、自然淘汰と適応の過程に組み込まれた生物や自然への愛情のことです。

私たち人間は、近くに生物がいることを本能的に欲しているものです。自分の好きな植物が、少しでも身近にあってほしいというのは人間であれば当たり前の欲求です。けれどいくら側にあったとしても、人間の生活空間には適応できない植物が枯れてしまったら悲しい。そんなジレンマを解消しながら、植物について思いを巡らす。そんな機会を提供するとともに、そんな短い時間だけでも日常のストレスを忘れリラックスをしたり笑顔になったり優しさが芽生えたりする。たにくっしょん®はそんな役割を担うプロダクトなのではと仮説を立てました。これからは私たちが仮説を検証していくフェーズに入ります。

愛する植物・旅先で出会った自生地の植物をコレクション

たにくっしょん®のアイテムたちは、発案者で植物マニアでもあるプランツディレクター鎌田が大切に育てている植物たちや、旅先で出会った自生地の自然の中でたくましく生きる植物たちがクッションに姿を変えたものです。

多肉植物には見ているだけでワクワクしてしまうような形が数多く存在しますが、実は自然が生み出す植物の不可思議なパターンにもまた、人を癒す効果があることも実証されています(フラクタル構造など)。つまり、人は植物を見つめるだけで、視覚からも癒されるのです。また、自生地の植物たちからは、綺麗に整っているだけではない、野生で生きる植物が持つエネルギーを感じることができるのです。

Profile

Mikiko Kamada

鎌田 美希子 - Mikiko Kamada (CEO/Plants Director)

北海道大学大学院農学研究科を修了。生命科学のバックグラウンドから植物系メーカーの開発職を経て、アカデミックな側面を生かしてプランツディレクターとしての活動を開始。2015年に室内緑化ツールとして、多肉植物の魅力を再現したクッション【Tanicushion®】とクッションで祝い花を表現した【Iwai-bana】を発表。現在は空間を緑化することの重要性を研究するため、千葉大学大学院園芸学研究科博士課程にて「植物とヒトの関係性」の再構築を目指し研究中。

同時に検証の一環でもある表現活動を継続的に行っている。2019年に開催されたアートフェア「GRADATION 代官山」ではオフィスを植物による植物のための空間とした展示”officce utopia”が大きな話題となった。2020年には初個展”(in)visible forest”を銀座のギャラリーArt for Thoughtにて開催。目に見えない生命たちを可視化する試みを実現した。